『時間は存在しない』雑感日記

 「時間は存在しない」


カルロ・ロヴェッリ


良い本だったのでレポートします。


科学系のYouTubeとかネットで評判が良くて、見ているうち興味を持ち、読んでみたいと思いました。何より「時間は存在しない」というタイトルが刺激的ですよね。

本屋さんに行ったら、難しそうな本ばかりの専門書のコーナーにありました。「どうせ読んでも理解出来ないかも・・」とビビりました。

購入して読み始めると、なんと!物理の数式がほとんど出て来ないですし、おそらく表面を撫でるぐらいしか本質は理解出来てないのかもしれませんが、納得しながら、わかった気になり、最後まで楽しく読めて、すっごく勉強になりました!


この本の内容と感想などを思いつくまま書いてみます。


まず、「時間」の概念はニュートンまでは、宇宙で絶対的なもので物理の根本的な存在だったのが、アインシュタインが時間は重力や動き等で変化するものだと主張しました「相対性理論」ですね。更に近年の量子論では、更に更に時間の存在が不確かな物になって来たのです。と、いうのも量子の超ミクロの世界では、物質の有無が確立でしか表せないような曖昧な世界だからです。しかも、人が観測することで結果が確定する、という摩訶不思議な世界、もっと言えば、人が観測するまで「有」でも「無」でもない世界だったりします。

もひとつ言えば、量子の世界の本質は、物質ではなくて「有」と「無」が混在するような、とんでもない世界。著者は「出来事」が存在する、と表現しています。「状態」というような意味だと思いますが・・。


この本の著者は、理論物理学者で「量子重力理論」の研究者です。ですから、「物質」と切っても切れない関係にある「時間」の正体もまた、この「出来事」であり実在するものではないのではないのではないか、と提唱しています。(証明はまだされていない)


◎時間というものが存在しないのに、ではなぜ人は「時間」を認識するのか?

それは、人が宇宙の物理的な情報を極々一部しか認識出来ない、故に、時間を認識するのだ、と言います。つまり、「時間」というのは「宇宙の全ての摂理を認識出来ない、人が作り出したもの」という結論です。驚きますよね、この理論。


◎人は時間を過去、現在、未来と一方方向にしか認識出来ないのはどうして?

答えの鍵は「熱」にあります。自然界では、熱は高→低の一方方向にしか変化しません。エントロピーで表現すれば低いものから高いものに非可逆的に変化します。宇宙はビッグバンで超高熱状態から冷えながら膨張して非可逆的に変化しています。だから、宇宙の摂理の中の一部である、熱を認識出来る人は、過去から未来への一方通行の時間を認識する、という理論です。理屈は筋が通っています。


物理の本ですが、哲学者の言葉や宗教家の言葉などをちりばめて、情緒のある文章が続くの楽しく読めると思います。


参考動画


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